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法人AI活用

創業100年超の老舗商社がAI請求書処理を導入、月1000件超の明細入力を自動化した現場の実態

デイリートピックス編集部公開: 2026/09/14約3分で読めます0 views
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神奈川県平塚市に本社を置く荒井商事株式会社が、AI請求書処理サービス「TOKIUM」を導入し、月間1000件を超える請求書明細の入力作業を自動化した。1920年創業、100年超の歴史を持つ商社における生成AI活用の現場では、何が起きていたのか。導入の背景から成果、そして中堅・中小企業が参考にできるポイントまでを追った。

100年企業が直面した「アナログ業務の壁」

荒井商事は中古車オークション事業と食品流通事業を二本柱に、取引先は全国に広がる。その分、毎月届く請求書の量も膨大だ。同社の発表によると、これまで経理部門では月間1000件を超える請求書の明細行を、目視で確認しながら手入力でシステムへ転記していた。担当者の負荷は大きく、繁忙期には残業が常態化。入力ミスのリスクも常につきまとっていた。

「紙とPDFが混在する請求書を、どう効率よくデータ化するか」。経営層と現場が共有していた課題だ。同社がAI導入を本格検討し始めたのは、人手不足が深刻化する中で「属人化した経理業務を標準化し、次世代へ引き継げる仕組みを作らなければならない」という危機感が高まったためだという。

導入の決め手は「明細行レベルの読み取り精度」

複数のAI-OCRサービスを比較検証した結果、同社がTOKIUMを選んだ理由は二つある。一つは、請求書のヘッダー情報だけでなく、明細行単位での読み取り精度が高かったこと。もう一つは、読み取り結果を人間が確認・修正する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の画面が現場の業務フローに馴染みやすかったことだ。

TOKIUMを提供する株式会社TOKIUM(東京・港区)によると、同サービスは独自のレイアウト解析エンジンと大規模言語モデルを組み合わせ、罫線のない表や複雑な明細構造でも高精度に構造化できる点を強みとしている。荒井商事では導入前のPoC(概念実証)で、自社の請求書サンプル数百件をテストし、明細行レベルでの読み取り正答率が実務で使える水準に達したことを確認してから本採用を決めた。

月1000件超の自動化、現場に生まれた「確認業務へのシフト」

本番運用開始後、同社では月間1000件超の請求書明細入力が自動化された。従来は1件あたり数分かかっていた手入力・確認作業が、AIによる読み取り結果の目視チェック中心へと変わった。経理担当者は「入力作業から確認・判断業務へシフトできた」と話す。

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具体的な効果として、同社は「請求書処理にかかる工数を大幅に削減できた」とし、繁忙期の残業時間減少や、入力ミスによる再処理の発生抑制にも効果が出ているという。正確な工数削減時間やコスト削減額は非公表だが、「現場の心理的負荷が下がったことが何より大きい」と経理責任者は振り返る。

中堅・中小企業が参考にできる「小さく始めて、確実に広げる」アプローチ

今回の事例が示唆的なのは、大規模なシステム刷新や全社一斉導入ではなく、経理という単一業務・単一ツールから着手し、PoCで効果を検証してから本格展開した点だ。荒井商事のような歴史ある中堅企業でも、特定のボトルネック業務をピンポイントでAI化し、現場の納得感を得ながら定着させる道筋が見えた。

TOKIUM側も「導入当初は経理担当者が『AIに任せて大丈夫か』と不安を持つケースが多いが、確認画面で修正しながら学習させられる仕組みがあるため、使ううちに信頼が深まる」と話す。荒井商事でも、最初はベテラン担当者がダブルチェックしながら運用を回し、徐々にAI任せの範囲を広げていったという。

老舗企業のDX、次の一手は「受発注データの連携」へ

荒井商事は今後、請求書データを起点に、受発注システムや在庫管理システムとの連携を進め、帳票処理全般のデジタル化を図る方針だ。同社の取り組みは、「レガシーな業務フローを抱える老舗企業こそ、生成AI・AI-OCRの恩恵を受けやすい」という一つのモデルケースになり得る。

「100年続いた会社が次の100年へ向けて、業務の『型』を変える」。荒井商事の挑戦は、同じ悩みを抱える日本の中堅・中小企業にとって、単なるツール導入ではない「業務変革の入り口」を示している。

出典・参考リンク

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