IBMが2023年6月27日に発表した調査結果によると、世界中のCEOの75%が「最も先進的な生成AIを持つ組織が競争優位を獲得する」と回答している。この調査は、IBMが30カ国以上・26業種・3000人のCEOを対象に実施したグローバル調査で、生成AIが企業経営の最優先事項に躍り出た現状を浮き彫りにした。
半数がすでに製品・サービスへ統合、意思決定にも活用
IBMの発表によると、回答したCEOの50%が「すでに生成AIを製品やサービスに統合している」と報告している。さらに、43%が戦略的意思決定に、36%が業務上の意思決定に生成AIを活用しているという。
経営層の関心は単なる導入検討の段階を超え、実務への組み込みが急速に進んでいる。特に「生産性向上」がCEOの最重要アジェンダに浮上した点は、生成AIの導入目的がコスト削減や新規事業創出から、既存業務の効率化へとシフトしていることを示している。
人材とスキルのギャップが浮き彫りに
一方で、課題も明確になっている。69%のCEOが「生成AIのメリットは組織全体に及ぶ」と見込む一方、執行チームのうち「生成AIを導入する社内スキルがある」と回答したのはわずか29%にとどまった。
また、CEO以外の上級管理職では、自社が「責任ある形で生成AIを導入できる準備ができている」と答えたのは30%にすぎない。経営層の意欲と現場の実行力の間に、依然として大きなギャップがある実態が浮き彫りになった。
雇用への影響はすでに顕在化
生成AIは雇用にも影響を及ぼし始めている。約43%のCEOが「生成AIによって人員を削減または再配置した」と回答。さらに28%が今後12カ月以内に同様の対応を計画している。
一方で、この調査結果は、生成AIが単なる人員削減の手段ではなく、労働力の再スキル化や業務再設計のきっかけになっている可能性も示唆する。生成AIの導入効果を最大化するには、人材育成と組織変革を並行して進めることが不可欠といえそうだ。
企業が生成AIで成果を出すための条件
今回のIBM調査は、経営層が生成AIに強い期待を寄せる一方で、その実装にはまだ課題が多いことを改めて浮き彫りにした。特に、生産性向上を目指した生成AI活用は多くの企業にとって急務となっている。
先行する企業の事例では、生成AIを活用して業務プロセスを自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できる環境を整える動きが進んでいる。経営戦略とAI活用を一体で捉え、組織全体のスキル向上を図る取り組みが、今後の競争力を左右するとみられる。