AIサーバーの発熱密度が上がり、データセンターの空冷設備では冷やしきれないラックが増えている。国際エネルギー機関の下部組織IEA 4Eの2026年報告書は、主要GPUの熱設計電力が1,000Wを超え、高密度のAI配置では空冷で効果的に管理できないと説明する。データセンターの消費電力に占める冷却の割合は大きく、冷却方式の選択が電力効率と運用費を左右する。国内では直接水冷や液浸冷却の検証が進み、福島ではGPUデータセンターの集積と製造業の基盤が重なり始めている。特定の福島の小規模メーカーが冷却部品を量産している事実は確認できないが、配管・継手・マニホールドといった部品領域に中小が関わる余地がある。
データセンターの電力使用効率を示すPUEは、施設全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、1.0に近いほど効率的である。富士通は2025年4月17日の発表で、自社調べとして空冷方式の平均PUE1.6に対し水冷方式の平均PUE1.2と説明した。KDDIと三菱重工、NECネッツエスアイの液浸冷却の検証では、コンテナ型実証でPUE1.07、小山データセンターの大規模検証でPUE1.05を記録し、空冷との比較で94%の電力削減に成功した。いずれも特定条件の検証値であり、すべての施設で同じ効率になるとは限らない。KDDIの担当者は運用や保守の変更、サーバーメーカーの対応、保守を含む協力体制の構築を課題に挙げ、まずは空冷から水冷への切り替えを進め、液浸冷却はその先の取り組みと説明している。
冷却の仕事はサーバー本体だけでなく、熱を運ぶ配管と接続部品に広がる。冷却水循環装置であるCDUは熱交換器とポンプでサーバー用の冷却水を循環させ、熱を外部に放出する。直接水冷では建屋側の主配管からCDUやマニホールドを経て各サーバーに冷却水を分配するため、分岐と接続が増えるほど漏水対策と施工品質の確保が重要になる。三桜工業はNTTデータと日比谷総合設備が開設した検証施設「Data Center Trial Field」内の直接水冷配管モデルに、バルブ機能付き継手と樹脂チューブの一体品を実装した。取り外し時の止水機能、軽量さ、狭い場所での配管取り回し、国内での開発製造による接続仕様への対応を特長とする。AIサーバーの発熱増加に伴う配管の大口径化に対応し、1インチに加えて1.5インチの継手を追加した。同社のマニホールドとチューブ、クイックコネクタは富士通経由でスーパーコンピュータ富岳に採用された。三桜工業は資本金34億8,110万円、連結約8,000名、本店を茨城県古河市に置く東証プライム上場企業であり、福島の小規模メーカーではない。ここでは自動車配管で蓄積した漏水防止と量産の知見がデータセンター冷却に応用された事例として扱う。
福島の大熊町にGPUデータセンターが集まり始めている
福島では需要側の変化が具体的に進んでいる。RUTILEAと子会社のAI福島は福島県大熊町にデータセンター2棟を建設し、1号棟を2024年9月、2号棟を2025年2月に稼働させた。1号棟は画像処理半導体H100を搭載する352枚のGPU、2号棟はH200を搭載する84台のサーバーで672枚のGPUを備え、2棟で計1,024枚に上る。2棟は専用線でつながり一体として稼働している。大和ハウス工業とRUTILEA、タイズAIの3社は大熊町でGPUサーバーを実装する展示施設「Module DPDC Fukushima」を2026年1月7日に着工し、5月上旬の公開を予定した。敷地面積は約1,500平方メートル、延べ床面積は約200平方メートルの平屋である。郡山市の福島情報処理センターは自社のデータセンターを耐震・免震や二重化電源、外気冷房を備えたTier3・PUE1.3と紹介している。福島の精密機械加工や切削加工の企業数は民間の企業 directory 上は数十~100社規模で集積が確認できるが、集計基準に依存し、冷却部品への対応力を直接示さない。



