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AIデータセンターの次なる壁は冷却 水冷・液浸への移行と福島のものづくりの可能性

デイリートピックス編集部公開: 2026/10/07約4分で読めます2 views

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AIサーバーの発熱密度が上がり、データセンターの空冷設備では冷やしきれないラックが増えている。国際エネルギー機関の下部組織IEA 4Eの2026年報告書は、主要GPUの熱設計電力が1,000Wを超え、高密度のAI配置では空冷で効果的に管理できないと説明する。データセンターの消費電力に占める冷却の割合は大きく、冷却方式の選択が電力効率と運用費を左右する。国内では直接水冷や液浸冷却の検証が進み、福島ではGPUデータセンターの集積と製造業の基盤が重なり始めている。特定の福島の小規模メーカーが冷却部品を量産している事実は確認できないが、配管・継手・マニホールドといった部品領域に中小が関わる余地がある。

データセンターの電力使用効率を示すPUEは、施設全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、1.0に近いほど効率的である。富士通は2025年4月17日の発表で、自社調べとして空冷方式の平均PUE1.6に対し水冷方式の平均PUE1.2と説明した。KDDIと三菱重工、NECネッツエスアイの液浸冷却の検証では、コンテナ型実証でPUE1.07、小山データセンターの大規模検証でPUE1.05を記録し、空冷との比較で94%の電力削減に成功した。いずれも特定条件の検証値であり、すべての施設で同じ効率になるとは限らない。KDDIの担当者は運用や保守の変更、サーバーメーカーの対応、保守を含む協力体制の構築を課題に挙げ、まずは空冷から水冷への切り替えを進め、液浸冷却はその先の取り組みと説明している。

冷却の仕事はサーバー本体だけでなく、熱を運ぶ配管と接続部品に広がる。冷却水循環装置であるCDUは熱交換器とポンプでサーバー用の冷却水を循環させ、熱を外部に放出する。直接水冷では建屋側の主配管からCDUやマニホールドを経て各サーバーに冷却水を分配するため、分岐と接続が増えるほど漏水対策と施工品質の確保が重要になる。三桜工業はNTTデータと日比谷総合設備が開設した検証施設「Data Center Trial Field」内の直接水冷配管モデルに、バルブ機能付き継手と樹脂チューブの一体品を実装した。取り外し時の止水機能、軽量さ、狭い場所での配管取り回し、国内での開発製造による接続仕様への対応を特長とする。AIサーバーの発熱増加に伴う配管の大口径化に対応し、1インチに加えて1.5インチの継手を追加した。同社のマニホールドとチューブ、クイックコネクタは富士通経由でスーパーコンピュータ富岳に採用された。三桜工業は資本金34億8,110万円、連結約8,000名、本店を茨城県古河市に置く東証プライム上場企業であり、福島の小規模メーカーではない。ここでは自動車配管で蓄積した漏水防止と量産の知見がデータセンター冷却に応用された事例として扱う。

福島の大熊町にGPUデータセンターが集まり始めている

福島では需要側の変化が具体的に進んでいる。RUTILEAと子会社のAI福島は福島県大熊町にデータセンター2棟を建設し、1号棟を2024年9月、2号棟を2025年2月に稼働させた。1号棟は画像処理半導体H100を搭載する352枚のGPU、2号棟はH200を搭載する84台のサーバーで672枚のGPUを備え、2棟で計1,024枚に上る。2棟は専用線でつながり一体として稼働している。大和ハウス工業とRUTILEA、タイズAIの3社は大熊町でGPUサーバーを実装する展示施設「Module DPDC Fukushima」を2026年1月7日に着工し、5月上旬の公開を予定した。敷地面積は約1,500平方メートル、延べ床面積は約200平方メートルの平屋である。郡山市の福島情報処理センターは自社のデータセンターを耐震・免震や二重化電源、外気冷房を備えたTier3・PUE1.3と紹介している。福島の精密機械加工や切削加工の企業数は民間の企業 directory 上は数十~100社規模で集積が確認できるが、集計基準に依存し、冷却部品への対応力を直接示さない。

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中小が関われる可能性がある部品と条件

中小が関われる可能性があるのは、冷却システムのなかでも図面の理解と漏水防止が求められる部品と組み立てである。マニホールド、バルブ機能付き継手、樹脂チューブと金属チューブの接合、水冷ヒートシンクとチューブの一体納品、ラック背面の熱交換器、現地の配管経路に合わせた曲げ加工と組み立てが該当する。三桜工業の事例ではステンレス製継手と樹脂チューブの直接接合や、複数部品の一体納品が施工工数と品質のばらつき、漏水リスクの低減に寄与すると説明されている。福島の中小が同じ領域を担うには、対応できる材質と寸法、許容できる漏れ量と検査方法、接続仕様の互換性、サーバーメーカーの保証条件と保守体制、漏水時の責任分担を事前に明確にする必要がある。データセンター構築に関わる企業間の相互理解を促すため、配管構成を可視化したDLC配管モデルのような検証の場に加わることも、受注の前提となる要求を把握する手段になる。

冷却の移行は一足飛びには進まない。KDDIの担当者が説明する通り、現実的な順序は空冷から水冷への切り替えであり、液浸冷却はその先に位置づけられる。富士通とSupermicro、ニデックの協業も、水冷の設計と構築、運用に高度な専門知識が必要で普及のハードルが高いことを前提に、監視制御ソフトと高効率CDU、導入から保守までの支援を組み合わせている。福島の小規模メーカーにとっての可能性は、特定の受注が決まった話ではなく、県内にGPU計算の需要と検証の場が生まれ、水冷配管の分岐と接続という具体的な仕事が見えてきた点にある。対応できる工程を切り分け、漏水防止の実績と検査体制を示せるかが判断材料になる。

出典・参考リンク

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