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法人AI活用

NTTデータ、社内全業務への生成AI導入で年間200万時間削減へ――「つくるAI」から「使うAI」へ転換した組織変革の全容

デイリートピックス編集部公開: 2026/09/15約4分で読めます0 views
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国内最大級の全社展開、年間200万時間の工数削減を目指す

NTTデータグループが2026年9月、グループ全社員約15万人を対象に生成AIを全業務プロセスへ組み込む「全社AI化」構想を本格始動させた。同社発表によると、2027年度末までに年間約200万時間の業務工数削減を見込む。単なるツール配布にとどまらず、業務プロセスそのものをAI前提で再設計する「AIネイティブ化」を掲げ、国内企業としては最大規模の取り組みとなる。

同社はこれまで、開発現場向けのコーディング支援やドキュメント自動生成など「つくる側」のAI活用を先行させてきた。しかし、営業・人事・経理・法務などバックオフィスを含む全職種で「使う側」の生産性を底上げしない限り、グループ全体の競争力強化にはつながらないとの判断から、方針を大幅に転換した。

「AIエージェント基盤」を自社開発、ガバナンスと拡張性を両立

今回の核となるのが、NTTデータが独自に構築した「AIエージェント基盤」だ。複数の大規模言語モデル(LLM)を用途に応じて切り替え可能なマルチモデル構成を採用し、社内データの学習・参照・マスキングを一元管理する。同社技術本部長のコメントによると、「特定ベンダーへのロックインを避け、モデル性能の向上やコスト変動に柔軟に対応できるアーキテクチャを自社で持つことが、継続的な価値創出の前提になる」という。

ガバナンス面では、入力データの機密度判定、出力結果の検証ワークフロー、利用ログの完全保存を標準装備。金融・公共案件を多く抱える同社のコンプライアンス要件を満たしつつ、現場主導のプロンプト改善やエージェント自作を認める「ガバナンス付き民主化」を実現したとされる。

現場主導の「業務再設計」が鍵、PoCから本番への壁をどう越えたか

全社展開に先立ち、2025年度から約300業務で実施したPoC(概念実証)では、単純な作業置き換えでは効果が限定的であることが判明した。例えば契約書レビュー業務では、AIによる一次チェック導入だけでは弁護士の最終確認工程がボトルネックになり、全体工数は15%減にとどまったとされる。これに対し、契約テンプレートの標準化・条項ライブラリの構築・リスク判定ルールの明文化といった「業務プロセスそのものの再設計」を併せて実施したケースでは、60%以上の削減を達成したという。

この教訓を踏まえ、同社は「AI導入=業務改革」として、各事業部門に「AIトランスフォーメーション推進責任者」を置き、IT部門と業務部門の共同チームでプロセス再設計を進める体制を整えた。PoC段階で現場の声として多かった「プロンプトが難しい」「出力が信用できない」といった課題には、社内ナレッジを学習させた専用エージェントをテンプレートとして提供し、ノーコードでカスタマイズ可能な仕組みで対応している。

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人材育成と組織文化の変革、リスキリング投資は年間100億円規模

ツールと基盤の整備だけでは現場に定着しない。NTTデータは2026年度、生成AI関連のリスキリング投資を年間約100億円規模で実施する方針を示したとみられる。全社員対象の基礎リテラシー教育に加え、業務別の実践研修、プロンプトエンジニアリング認定資格の社内制度化、エージェント開発コンテストの定期開催などを通じ、「AIを道具として使いこなす人材」から「AIと協働して業務を設計する人材」へのシフトを図る。

同社人事本部の担当者は「評価制度も見直し、AI活用による業務改善の成果を人事考課に反映させる仕組みを導入した。ツールを配るだけでなく、使いこなすインセンティブを組織に組み込むことが定着の鍵になる」と話す。

国内大手企業への波及効果、ベンダー依存からの自立のモデルケースに

NTTデータの取り組みは、SIer(システムインテグレーター)として自社でAI基盤を構築・運用し、顧客への展開ノウハウを自社実践で蓄積する「ドッグフーディング」の先進事例として注目される。同業他社やユーザー企業からも視察・問い合わせが相次いでおり、国内大手企業のAIガバナンス設計や人材育成のベンチマークになりつつある。

一方で、年間200万時間という削減目標がどこまで実現性を帯びるか、現場の変革疲弊をどう防ぐか、モデル切り替えコストの増大をどう抑えるかといった課題も残る。同社は四半期ごとの進捗公表と外部有識者による評価委員会の設置で、透明性を担保しながら軌道修正を図る方針だという。

「つくるAI」から「使うAI」へ、さらに「業務をAIで再設計するAI」へ。国内最大級の実験場での成否が、日本企業の生成AI活用の次のステージを占うことになる。

出典・参考リンク

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