弁護士ドットコム株式会社が運営する契約管理プラットフォーム「クラウドサイン」は、2026年1月から3月にかけて実施した「生成AIのリアルな活用実態アンケート」の結果を公表した。あらゆる業界・職種のビジネスパーソンを対象とした調査で、就業者の32.4%が生成AIを実務に活用していることが分かった。活用ツールはChatGPTとGeminiが主流で、メール作成や要約といった定型業務から、法務レビューや事業計画策定といった高度な専門業務まで領域が広がっている。
利用率32.4%の裏にある「定着」へのシフト
クラウドサインの調査は個人の実務レベルに焦点を当てており、「導入しているか」から「定着しているか」「効果を数字に変換できているか」へ論点が移っていることを示唆している。調査では、活用している層の内訳まで明らかにされた。毎日使う「ヘビーユーザー」は全体の1割強にとどまり、週数回から月数回の「定常利用層」がボリュームゾーンを形成している。試験的に触れたのみで継続していない層も一定数存在し、導入から定着へのハードルが依然として高いことがうかがえる。
成果を分けた「プロンプト設計」と「人の目」の徹底
調査で成功事例として挙げられたケースに共通していたのは、背景情報を詳細に盛り込んだプロンプトの工夫、ハルシネーション(誤回答)を防ぐ人の目による最終確認、用途に応じた複数ツールの使い分けの3点だ。特に法務レビューや契約書チェックといったリスクの高い業務では、AIの出力を鵜呑みにせず、専門家が最終判断するフローを組み込んでいる企業が成果を出している。
マーケティングコンテンツ制作や需要予測レポート作成では、ChatGPTでたたき台を作り、Geminiで事実確認やリライトを行うなど、ツールの得意分野を組み合わせる「使い分け」が定着しつつある。ある製造業の企画部門では、社内データをRAG(検索拡張生成)で参照させた独自環境を構築し、事業計画策定の初期ドラフト作成時間を従来の3分の1に短縮した例も報告されている。
企業規模と業種で広がる「温度差」
調査では業種別の傾向も浮き彫りになった。IT・情報通信、専門サービス(コンサル・士業)、金融・保険の順で活用率が高く、製造業や建設業、卸売・小売では相対的に低い。特に中小規模の非IT企業では「何から手をつければよいかわからない」「セキュリティポリシーが整っていない」といった声が多く、全社展開よりも特定業務へのポイント導入から始めるケースが成功パターンとして見られた。