副業でAIを活用した業務や開発を請け負う人が増えている。国内のクラウドソーシング市場では、AI関連の案件数と報酬単価の両方が拡大傾向にあり、とりわけ需要が高まっているのがAIエージェント(自立型AI)の構築・実装支援だ。
クラウドワークス社が2026年9月に公表した調査によると、企業が外部人材に依頼するAI関連業務は、これまでの文章生成やデータ整理といった単発のタスクから、AIエージェントの設計・開発・運用といった高度な領域へと移行しつつある。同調査では、企業の約4割が「AI人材が不足しており、副業・フリーランス人材の活用を検討したい」と回答しており、副業人材の受け入れ意欲の高さがうかがえる。
この背景には、企業側で生成AIの社内利用が進み、「使う」段階から「成果を出す」段階へと関心が移っていることがある。単純な要約や下書き作成ではなく、複数のシステムと連携しながら自律的に業務を進めるAIエージェントへの期待が高まり、それを外注先の副業人材に求めるケースが増えているのだ。
実際、複数のフリーランス向け案件仲介サービスでも、AIエージェント開発と明記した案件の増加が報告されている。企業は即戦力となる技術者をフルタイムで雇用する前に、まず副業人材に依頼して検証したいというニーズが強い。
需要が高まるスキルは「作る」から「動かす・繋ぐ」へ
AIエージェント開発の案件で特に求められているのは、大規模言語モデル(LLM)のAPIを活用したシステム設計や、外部サービスとの連携、プロンプトエンジニアリングの高度な技術だ。最新のモデルでは、人間の指示を複数ステップに分解して自律的にタスクを遂行できるため、その「設計力」に高い価値がつく。
IT大手などが公開している技術者向けの公式ドキュメントには、AIエージェントの開発例やAPIの利用方法が多数掲載されている。こうした公式情報を読み込み、実際の業務フローに組み込むことができる人材の需要が特に大きい。
一方で、AI人材のスキル習熟は個人差が大きく、求人側は「昨年度にAIを学び始めた人」と「実務でAIエージェントを運用した経験がある人」を区別する傾向を強めている。このため、副業人材の間ではポートフォリオ(実績公開)の重要性が一層増しており、自主制作のAIエージェントを公開する人も増えている。
単価上昇の一方で、見え始めた「格差」という課題
副業AI案件の単価は、ある経済団体が公表した「DX人材の市場価値に関する調査」でも、従来のWebアプリケーション開発と比較して高い水準にあるとされている。しかし、その恩恵をすべての副業人材が受けられるわけではない。