従業員300名以上の企業で生成AIを業務利用する会社員1,014名を対象に実施された調査で、全社標準ツールとして導入されているMicrosoft CopilotとChatGPTがそれぞれ45%前後のシェアで二分している実態が明らかになった。SDEパートナーズが2026年3月に公表した「国内法人における主要な生成AIプラットフォームの市場シェア、部門別・職種別の生成AIツール活用深度&使い分けの実態」調査によると、導入シェア1位のCopilotを使う現場の8割以上が「実務レベルに達していない」と指摘していると報じられている。
ツール配布から定着へ、問われる「活用深度」の実態
総務省が2026年7月に公表した令和8年版情報通信白書では、何らかの業務で生成AIを利用している日本企業の割合が86.4%に達し、前回調査から31.2ポイント上昇した。しかし同白書は同時に、日本企業の27.0%が「組織的な取組を何もしていない」と報告されており、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と桁違いに高い水準にあることを示している。ツールの普及率では追いついたように見えても、業務変革として設計している企業の比率だけが大きく取り残されている構図だ。
SDEパートナーズの調査は、この「定着の壁」を現場の声から浮き彫りにした。所属部門における活用深度を5段階で評価させたところ、「レベル1[補助]」(23.1%)と「レベル2[定着化]」(29.8%)を合わせた52.9%が、個人レベルのタスクの時短にとどまる利用に留まっている。一方で「レベル3[組織的活用]」以上に達しているのは半数に満たない。
実務で使われているのは「文書生成・要約」に偏る
具体的な業務用途を見ると、「メール・各種文書の作成・添削」(50.1%)、「資料の構成案・骨子の作成」(46.0%)、「議事録作成・情報の要約」(41.8%)が上位3項目を占め、定型的な文章作成や情報整理といった汎用的な補助機能としての利用に強く偏っている。営業・販売や社内ヘルプデスクといった業務プロセスへの組み込みは、白書が示す「約6割」「約5割」という数値の割に、現場の体感としてはまだ限定的だ。
「全社標準ツールが提供する機能」と「現場の業務ニーズ」の乖離について、SDEパートナーズは「現場が独自に生成AIツールを使い分ける実態が加速している」と分析する。実際、法人導入シェア3位のGoogle Gemini(28.3%)やNotion AI(8.5%)、Anthropic Claude(7.7%)なども一定のシェアを占めており、単一プラットフォームではカバーしきれない業務要件が存在することを裏付けている。
日米で開く「効果創出」の差、経営層の視点変化
PwC Japanが2026年6月に公表した6カ国比較調査では、生成AI活用から「期待を大きく上回る効果」を得た日本企業は9%にとどまり、米国の38%と大きな開きがあることが示されているとされる。「活用中・推進中」まで進んでいる企業の割合は日米で大差ない(日本87%、米国89%)にもかかわらず、最終的に「財務的な還元に繋げている」企業は日本27%対米国61%と、約2.3倍の差が生じているとされる。


