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法人AI活用

法人導入トップのCopilotでも「実務で使えぬ」8割、日本企業のAI活用に見える定着の壁

デイリートピックス編集部公開: 2026/09/22約5分で読めます1 views
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従業員300名以上の企業で生成AIを業務利用する会社員1,014名を対象に実施された調査で、全社標準ツールとして導入されているMicrosoft CopilotとChatGPTがそれぞれ45%前後のシェアで二分している実態が明らかになった。SDEパートナーズが2026年3月に公表した「国内法人における主要な生成AIプラットフォームの市場シェア、部門別・職種別の生成AIツール活用深度&使い分けの実態」調査によると、導入シェア1位のCopilotを使う現場の8割以上が「実務レベルに達していない」と指摘していると報じられている。

ツール配布から定着へ、問われる「活用深度」の実態

総務省が2026年7月に公表した令和8年版情報通信白書では、何らかの業務で生成AIを利用している日本企業の割合が86.4%に達し、前回調査から31.2ポイント上昇した。しかし同白書は同時に、日本企業の27.0%が「組織的な取組を何もしていない」と報告されており、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%と桁違いに高い水準にあることを示している。ツールの普及率では追いついたように見えても、業務変革として設計している企業の比率だけが大きく取り残されている構図だ。

SDEパートナーズの調査は、この「定着の壁」を現場の声から浮き彫りにした。所属部門における活用深度を5段階で評価させたところ、「レベル1[補助]」(23.1%)と「レベル2[定着化]」(29.8%)を合わせた52.9%が、個人レベルのタスクの時短にとどまる利用に留まっている。一方で「レベル3[組織的活用]」以上に達しているのは半数に満たない。

実務で使われているのは「文書生成・要約」に偏る

具体的な業務用途を見ると、「メール・各種文書の作成・添削」(50.1%)、「資料の構成案・骨子の作成」(46.0%)、「議事録作成・情報の要約」(41.8%)が上位3項目を占め、定型的な文章作成や情報整理といった汎用的な補助機能としての利用に強く偏っている。営業・販売や社内ヘルプデスクといった業務プロセスへの組み込みは、白書が示す「約6割」「約5割」という数値の割に、現場の体感としてはまだ限定的だ。

「全社標準ツールが提供する機能」と「現場の業務ニーズ」の乖離について、SDEパートナーズは「現場が独自に生成AIツールを使い分ける実態が加速している」と分析する。実際、法人導入シェア3位のGoogle Gemini(28.3%)やNotion AI(8.5%)、Anthropic Claude(7.7%)なども一定のシェアを占めており、単一プラットフォームではカバーしきれない業務要件が存在することを裏付けている。

日米で開く「効果創出」の差、経営層の視点変化

PwC Japanが2026年6月に公表した6カ国比較調査では、生成AI活用から「期待を大きく上回る効果」を得た日本企業は9%にとどまり、米国の38%と大きな開きがあることが示されているとされる。「活用中・推進中」まで進んでいる企業の割合は日米で大差ない(日本87%、米国89%)にもかかわらず、最終的に「財務的な還元に繋げている」企業は日本27%対米国61%と、約2.3倍の差が生じているとされる。

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この数字は、経営層の関心が「AIで何ができるか」という驚きから、「投資対効果を具体的な数字で示せるか」へ完全にシフトした背景にある。AI総合研究所のまとめによれば、2024〜2025年の「とりあえずChatGPTを契約して配布する」フェーズが終わり、配布後に何が起きたかを定量化できない企業から順に投資が削減されていく流れが始まっている。

「組織的取組の不在」は現場でなく経営層にある

ラクスルが2026年7月に公表した中小企業調査は、「組織的取組なし27.0%」の原因が現場のリテラシー不足ではなく、経営層の意思決定にある可能性を示唆している。ツールを配布するだけでなく、業務プロセスへの組み込み設計、効果測定の指標設定、人材育成の仕組みまでをセットで投資判断に含められるかどうかが、今後の分岐点になる。

SDEパートナーズの調査でも、部門別・職種別の活用深度にばらつきが見られ、営業や企画など外部折衝・創造的業務が多い領域ほど「レベル3以上」の割合が高い傾向が出ている。逆にバックオフィスやルーチンワーク中心の部門では、ツール導入は進んでいるものの「レベル1〜2」に留まるケースが目立つ。

次の一手は「使われ方の可視化」と「業務設計の内製化」

帝国データバンクが2026年5月に公表した「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」では、業務活用率が34.5%(非常に活用4.4%+やや活用30.2%)に達し、規模別で20ポイント近い格差があることも判明していると報告されている。大手企業では導入そのものが完了し、次の課題は「使われ方の可視化」を後追いで仕組み化することに移っている。

年間AI投資額について、生成AI導入済み企業の管理職1,008名調査では「100万〜500万円未満」が最多で、約9割が「今後AIへの投資を増やしたい」と回答しているとされる。しかし投資を継続させるには、業務時間削減・件数削減・売上貢献といった評価指標を最初から設計し、四半期ごとに経営層へ数字で報告できる体制を作ることが必須条件になりつつある。

ツール選定の段階で「CopilotかChatGPTか」という二択思考から脱し、自社の業務フローに合わせて複数のAIサービスを使い分ける「プラットフォーム・アグノスティックな設計」へ転換できている企業が、実務レベルでの定着と財務的還元の両方を掴み始めている。今、問われているのは導入そのものではなく、現場の「実務レベル不足」という声をどう組織的な改善アクションに変えられるかだ。

出典・参考リンク

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