Microsoft 365 Copilotを導入した企業の87.5%が「情報分散」を課題に挙げている。双日による利用企業調査の結果を伝える報道が注目を集め、社内データを横断して探せる検索AIへの期待が高まっている。生成AIの利用が広がる一方で、実務での使いこなしは次の壁にぶつかっている。
国内企業の生成AI利用率は約7割に達し、「ChatGPT」「Microsoft 365 Copilot」「Gemini」が競り合う3強の構図が固まりつつある。キーマンズネットの調査によると、導入企業の約8割が肯定的な評価を示す一方で、活用の中心は文章作成や要約、調べ物といったクリエイティブな実務に移っている。基盤は整ったが、社内に散らばる情報をどう生かすかが問われている。
Copilot導入後に残った情報分散の壁
双日の調査結果を扱った報道では、Copilot導入企業の87.5%が情報分散を課題として挙げたことが伝えられている。メールやチャット、ファイルサーバ、業務システムごとに情報が分かれ、Copilotを使っても必要な社内文書にたどり着けない状況が浮かび上がった。
この数字は、ツールの満足度とは別の次元で現場が悩んでいることを示している。生成AIの評価自体は高いが、参照できる社内情報が分散したままでは回答の精度や実用性が上がらない。導入が進んだ企業ほど、データの置き場所と探し方の問題に直面している。
法人向けの活用では、セキュリティや権限管理を保ったまま社内情報を集約できるかが焦点になる。双日が示した「横断検索AI」という方向性は、散在する情報をつなぎ、Copilotの利用価値を引き上げる試みとして受け止められている。
なぜ社内データは横断で使えないのか
多くの企業では、部門ごとに異なるストレージやSaaSを使い分けている。営業資料はクラウドストレージ、議事録はグループウェア、顧客対応は基幹システムといった形で蓄積され、全文検索の対象も権限もバラバラだ。キーマンズネットの関連報道では、企業のAI導入は6割に達したものの、8割超がチャット利用にとどまり業務自動化に進んでいない現状も伝えられている。
背景には、情報の形式の違いもある。PDFやスライド、表計算、議事録のテキスト、画像で保存された帳票など、構造が異なるデータをそのままAIに渡しても十分に活用できない。社内用語や略称、プロジェクト名のゆらぎも検索精度を下げる要因になる。
さらに、誰がどの情報にアクセスできるかという権限設計が横断利用を難しくしている。人事や経理、法務の文書を全社公開にはできないため、部署をまたぐ検索では公開範囲の制御が欠かせない。利便性と統制を両立させる設計が求められている。


