日立製作所は9月27日、社内に分散する技術資料や規程、議事録を横断検索できる生成AI基盤を全社展開すると発表した。回答に参照元を示し、権限に応じて閲覧範囲を制御できる点が特徴だ。対象は国内の開発や生産、間接部門を中心とする約3万人になる。
今回の基盤は特定部門での試行を経て対象を広げるものだ。日立の発表によると、設計や品質管理、調達、人事・経理など問い合わせが多い領域から利用が始まっている。調べものにかかる時間を抑え、文書作成の初動を速くする狙いがある。
社内文書を横断検索する基盤の中身
新しい基盤は社内文書を集約し、質問に対して文章で回答する仕組みだ。回答文には参照した資料名と該当箇所が併記され、利用者は原文にさかのぼって裏付けを確認できる。Teamsやブラウザから呼び出せる構成で、既存の業務フローに組み込みやすくしている。
対象データは設計書や不具合報告書、製品マニュアル、社内規程、会議資料など多岐にわたる。日立の発表では、文書形式の違いを吸収して検索対象にする処理と、部門ごとに異なる用語を整える辞書整備を進めてきたと説明している。現場の言葉で質問しても必要な資料にたどり着ける点を重視している。
生成結果の扱いにも工夫がある。回答は下書きや調査メモとして使い、最終的な判断や対外文書は担当者が確認して仕上げる運用だ。日本経済新聞の報道では、参照元表示を徹底することで確認作業を業務に組み込んでいると伝えている。速さと正確さの両立を狙った設計になる。
現場部門で使い道が広がる背景
開発や生産の現場では、過去の不具合対策や設計変更の経緯を探す作業に時間がかかっていた。ベテラン社員の知見に頼る場面も多く、担当者が変わると調査が滞る課題があった。基盤の導入後は、キーワードが曖昧でも関連資料を束ねて提示できるため、若手でも初動調査を進めやすくなっている。
間接部門でも定型的な問い合わせ対応が変わりつつある。経費精算や勤怠、契約手続きなど規程の読み解きが必要な業務で、該当条文を引用した案内が作れるようになった。ITmediaの報道では、人事や経理の窓口業務で一次回答の作成時間が短縮された事例が紹介されている。担当者は例外対応や判断が必要な案件に集中できる。
試行部門では文書作成の起点としても使われている。報告書の骨子や議事録の要約、技術説明資料のたたき台を短時間で用意し、加筆修正に時間を充てる形だ。クラウド Watchの報道によると、資料探しと要約を往復する作業が減り、会議準備の負荷が下がったという声がある。