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ソフトバンク「AI-RAN」実証、基地局をGPUサーバー化してエッジ推論を高速化――2026年度内の商用化へ

デイリートピックス編集部公開: 2026/09/16約4分で読めます0 views
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基地局がAI推論サーバーになる

ソフトバンクは9月15日、基地局無線装置(RU)と分散ユニット(DU)にGPUを搭載し、無線アクセスネットワーク(RAN)そのものをAI推論基盤として機能させる「AI-RAN」の実証実験を完了したと発表した。同社の発表によると、東京・汐留エリアで実施したフィールド試験では、エッジ側で大規模言語モデル(LLM)の推論を実行し、従来のクラウド経由に比べてレイテンシを約60%削減できたとされる。商用化は2026年度内を目指す。

この取り組みは、NVIDIAと共同で進めている「AI-RAN Alliance」の成果の一つだ。基地局装置にNVIDIA GH200 Grace Hopper Superchipを組み込み、無線信号処理とAI推論を同一ハードウェア上で並行動作させるアーキテクチャを採用している。ソフトバンクの宮川潤一社長は記者会見で「通信インフラそのものをAIの実行基盤に変えることで、デバイス側の負担を減らし、リアルタイム性が求められるアプリケーションの幅を広げる」と述べた。

エッジAIが変えるデバイス体験

実証では、スマートグラス型のARデバイスから送信された映像データを、最寄りの基地局エッジで即座に解析し、物体認識・翻訳・ナビゲーション情報をミリ秒オーダーで返すユースケースを検証した。デバイス側は推論用の重いチップを持たず、バッテリー消費も抑えられる。ソフトバンクの技術資料では、エッジ推論の往復遅延が平均12ミリ秒、ピーク時でも18ミリ秒に収まったと報告されている。

同様の動きはKDDIやNTTドコモでも進んでいる。KDDIは同月10日、NVIDIAと連携し「AI-RAN」の商用検証を神奈川県内で開始したと発表。ドコモも「6Gを見据えたAIネイティブネットワーク」として、基地局エッジへのGPU搭載を2027年度以降の標準仕様に組み込む方針を明らかにしている。三大キャリアが揃って基地局の「AI化」を競う構図が鮮明になりつつある。

デバイスメーカーにとっての意味

スマートフォンやウェアラブル端末のメーカーにとって、この流れは設計思想の転換を迫るものだ。これまで「オンデバイスAI」の強化=SoCのNPU性能向上という一本槍だったが、ネットワーク側が推論を引き受けるなら、端末は「センサーとディスプレイ、通信モジュール」に徹し、薄型化・長時間駆動・低価格化を両立しやすくなる。

実際、シャープは9月12日に発表した次期ARグラス試作機で、オンデバイス推論チップを省き、5Gミリ波通信モジュールのみを搭載する設計を披露した。同社担当者は「キャリアのエッジAI基盤が整えば、デバイス重量を40グラム台前半まで落とせる」と話す。また、ソニーグループも同13日、イメージセンサーと通信モジュールを一体化した「エッジAI向けセンシングモジュール」のサンプル出荷を開始したと発表。カメラ映像をそのまま基地局エッジへ送り、解析結果のみを受け取るアーキテクチャを想定している。

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残る課題と今後のスケジュール

課題もある。基地局へのGPU搭載は電力消費と発熱、設置スペースの制約を伴う。ソフトバンクの試算では、GPU搭載DU1台あたりの消費電力が従来比で約300ワット増加する見込みだ。これに対処するため、液浸冷却ラックの導入や、夜間・低負荷時間帯のGPU休止制御などの運用ノウハウを蓄積中という。

また、エッジ推論の料金モデルも未定だ。通信料金に含めるのか、アプリケーション側が従量課金で利用するのか、キャリア間で足並みが揃っていない。総務省は9月9日、「AI-RANに関する検討会」の初会合を開き、周波数割当や公正競争ルールの整理を開始した。

ソフトバンクは2026年度中に東京・大阪・名古屋の主要エリアで商用サービスを開始し、2027年度には全国主要都市へ拡大する計画だ。対応デバイス第1弾として、ARグラスや産業用ドローン、自律走行ロボット向けのSDKを同年10月に公開する予定という。

ガジェット市場への波及効果

基地局がAIサーバーになることは、ガジェット市場のパワーバランスを変えかねない。SoCベンダーにとってはNPU性能競争のゴールポストが動き、端末メーカーは「通信品質とエッジ基盤の成熟度」を製品企画の前提に組み込む必要が出てくる。ユーザー視点では、重いAI処理をクラウドでも端末でもなく「最寄りの基地局」で済ませられるようになれば、バッテリー持ちと発熱の悩みから解放される可能性がある。

今後数カ月は、キャリア各社のエリア展開スピードと、対応デバイスがどれだけ早く市場に出るかが焦点になる。IFA 2026でも複数のARグラスメーカーが「キャリアエッジAI前提」の試作機を参考出展しており、2027年前半には実製品が店頭に並び始めるとの見方もある。

出典・参考リンク

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