広告

法人AI活用

GMO熊谷社長が実践する「AIネイティブ経営」、PC12台で自作アプリ・社員7割がコード生成

デイリートピックス編集部公開: 2026/09/18約4分で読めます0 views
広告

GMOインターネットグループの熊谷正寿社長が、自らの執務環境に12台のPCを並べ、生成AIを駆使して業務アプリケーションを自作している実態が明らかになった。日経ビジネス電子版の音声コンテンツ「日経ビジネスAUDIOモーニング」(9月18日配信)で語られた内容によると、同社ではすでに社員の約7割が生成AIを用いてコードを書いており、経営トップ自らが率先してAIネイティブな働き方を体現している。

経営トップ自らが「開発者」に回帰

熊谷社長は取材に対し、日常的に複数のPCを使い分けながら、生成AIと対話しつつ社内業務向けのツールやダッシュボードを自らコーディングしていると明かした。経営判断に必要なデータを即座に可視化するためのアプリケーションを、外部発注や社内システム部門を待たずに自ら構築・改修するスタイルだ。「アイデアを思いついたらすぐ形にできる。それが最大のスピードアップになる」と語り、AIを単なる補助ツールではなく、自身の思考を拡張するパートナーとして位置づけている。

この取り組みは、熊谷社長が掲げる「AIネイティブ企業への変革」の象徴的な一幕だ。同社では2023年頃から全社的な生成AI活用を推進してきたが、トップ自らが最前線でコードを書く姿勢を見せることで、組織全体の心理的ハードルを下げる効果を狙っているとみられる。

社員7割が「AIでコードを書く」組織文化

同社の調査では、エンジニア職に限らず、営業や企画、バックオフィスを含む全社員の約7割が「生成AIを使ってコードを生成・修正した経験がある」と回答した。熊谷社長は「プログラミングの知識がなくても、自然言語で指示すれば動くものが返ってくる。ノンプログラマーでも自分の業務を自動化できる時代になった」と強調する。

実際、営業担当が顧客管理の集計スクリプトを自作したり、経理担当が月次締めのデータ整理をPythonスクリプトで自動化したりする事例が日常化しているという。従来ならシステム部門への依頼票を起票し、数週間待つ案件が、当事者自身の手で数時間〜数日で完結するようになった。この「内製化の民主化」が、同社の業務スピードを底上げしているとみられる。

ガバナンスとリスク許容のバランス

一方で、全社員が自由にコードを書き、本番環境に近いデータを扱う運用にはリスクも伴う。同社では情報システム部門が「AI活用ガイドライン」を整備し、機密データの入力制限や、生成コードのレビュー体制、ライセンス管理などをルール化している。ただし、ガチガチの承認フローを敷くのではなく、「まず試せ、問題なら止める」というアジャイルなガバナンスを採用。熊谷社長自身も「失敗を恐れずに触らせることが、リテラシー向上の近道」と語り、心理的安全性を担保する方針を貫く。

広告

「最後の1マイル」を埋めるFDE的アプローチ

こうした現場主導の実装サイクルは、近年注目されるFDE(Forward Deployed Engineer)の思想と通底する。顧客(ここでは社内ユーザー)の現場に入り、課題を発見し、データをつなぎ、コードを書き、業務フローを変え、本番運用まで持っていく。その知見を再びプラットフォーム側へフィードバックする循環だ。熊谷社長自らが「社内FDE」として振る舞うことで、このサイクルを最短で回しているといえる。

実際、同社では生成AIを活用した社内ツール群を「GMO AI Platform」としてプラットフォーム化し、グループ各社へ横展開する動きも加速している。社長自作のアプリケーションが、汎用コンポーネントとして標準化され、他部署・他社で再利用される好循環が生まれつつある。

経営指標へのインパクトと今後の展望

熊谷社長は「開発生産性は体感で3〜5倍になった」と述べるが、具体的な定量効果の開示は控えている。ただし、システム部門への依頼案件数が前年比で大幅に減少し、業務部門主導の自動化案件が爆発的に増加していることは事実だという。

今後は、エージェント型AIの導入により「指示から実行までの自律化」をさらに進めるとともに、グループ全体のナレッジを統合した独自LLMの構築も視野に入れる。熊谷社長は「AIを使いこなせない企業は、スマホを使わない企業と同じ運命をたどる」と警鐘を鳴らし、自らキーボードを叩き続ける姿勢を崩さない。

トップ自らがコードを書き、社員の7割がAIで開発する。GMOインターネットグループの実践は、生成AIを「導入するツール」から「組織のOSへ書き換える」先駆的なケーススタディとして、業界内外から注目を集めそうだ。

出典・参考リンク

広告

あわせて読みたい