生成AIのモデル選定でベンチマークスコアを最優先にする企業は少なくない。スコアが高いほど優秀に感じるが、社内文書の要約や顧客対応では結果が伴わない場面がある。国内の情報システム部門からは、デモは滑らかでも実務では手直しが増えるという声が出ている。
ビジネス+ITの報道では、ベンチマーク高得点が必ずしも仕事ができるAIを意味しないと指摘している。国内企業は自社業務に即した評価軸へ切り替え、導入後の手戻りを減らしている。選定の主戦場は公開テストの点数から、現場再現の検証へ移っている。
なぜ高得点AIが現場でつまずくのか
公開ベンチマークの多くは一般知識や定型問題の正答率を測っている。企業の日常は社内用語や略称、未整理の議事録、例外処理の連続であり、出題形式が根本的に異なる。点数上位のモデルでも社内文脈を読み違えると、要約の抜け漏れや誤った敬語が残る。
もう一つの壁は指示の曖昧さとツール連携にある。現場の依頼文は短く、前提が省略され、関連資料が複数に分散している。モデル単体の文章力だけでは、権限確認やシステム登録、承認フロー連結まで手が届かない。ビジネス+ITの報道でも、実務遂行力は単体性能と切り離して測る必要が説かれている。
国内企業が持ち込んだ実務ベンチの工夫
先行企業は自社業務を再現した小さな評価セットを内製している。過去の問い合わせ履歴や稟議書、設計書の抜粋を使い、要約精度や根拠提示、表記統一を点数化する。機密情報は匿名化し、部署ごとに難易度を変えることで、現場感を保ったまま比較できる。
評価の観点も正誤だけに寄せない。回答時間や修正回数、参照元の明示、業務システムへの転記しやすさまで記録する。Agentic AI Instituteの整理によると、企業事例51件では中央値で71%の生産性向上が報告されている。時短率と手直し率を並べて投資判断に使う方法が有効になる。
